コーチで違う意見は間違いか?

選手の起用や、プレーに対する意見などコーチによって違う場合があります。 ときには全く反対のことを言い出すことも。

「どっちを信じればいいの?」
混乱や不安が、選手やその親たちの心に残ります。

そんな意見や指示の違い、必ずしもどちらかの間違いによるとは限りません

間違いではないけど、意見が違ってしまう例をいくつか挙げていきたいと思います。

・・戦術の違いによる指示の違い・・
たとえばFW(フォワード)の選手への指示で、「サイドアタックを基本に考えているコーチ」と、「中央突破を基本に考えているコーチ」では、選手に期待する動きや指示が違います。サイドアタック的にはサイドに開くことを指示しますし、中央突破ならセンター付近でパスのターゲットになることを指示します。下手すると「中に入れ!」と「サイドに開け!」の矛盾した指示が、ベンチから同時に発せられることもありえます。
選手の評価にも違いが出ます。例えば中央でパスを待つFWの選手に対し、片方は「グッド!」という高い評価、もう片方は「なぜすぐにサイドに開かない?判断が悪い!」という低い評価になることも。評価の違いは選手起用にも関係します。
事前にコーチ間でチーム戦術について、しっかりすり合わせておけば矛盾は減らせます。しかし相当細かいところまですり合わせても、矛盾をゼロにするのは難しく、時間もかかります。
そもそもチームも選手も発展途上であると同時に、コーチ自身も成長の途上であったりします。成長や変化に伴って、適切と思われるチーム戦術が変わることもあります。複数のコーチが指導する場合、相反する意見や指示が出るのは避けられないのかもしれません。

それぞれのコーチのバックグラウンドによって、持ちうる戦術のバリエーションも、戦術の理解度も違います。「実際に試合で自ら実践し経験を重ねた戦術」と「試したこともない戦術」では理解度が違って当然です。
あらゆる戦術に精通していることを、限られた時間で指導するスポ少のコーチに求めるのは酷です。
多くの場合、異なる経緯でサッカーを経験してきた人が組んで指導する事情からも、戦術のすり合わせに時間を要すのはやむを得ないと思います。

・・「指導での厳しさの要否」に対する意見の違い・・
それぞれのコーチのバックグラウンドの違いが、指導の姿勢にも表れます。
厳しい指導を重視するコーチの言い分は、「厳しくないと締まらない」「昔はもっと厳しかった」「優しいだけだとなめられる」などです。
厳しくない指導を重視するコーチの言い分は、「厳しさに委縮する子も少なくない」「厳しさに馴れて全く動じない子もおり、それに応じてエスカレートしていくことも」「厳しい指導だけでは燃え尽き症候群の一因」「ミスを恐れる緊張感より、プレーを楽しむ雰囲気を重視したほうが集中力が高まりやすい」「怒鳴らなくても大人が真剣に話せば通じる。その子に通じるタイミングを選ぶべき。」などです。(こちらのほうが指導に手間がかかりますし、下手をすると子供たちのペースに引っ張られ練習がダラダラ・グダグダになるリスクもあります。)
この姿勢の違いが、選手への対応への大きな違いを生みます。例えば同じプレーに対し、あるコーチは不足を激しく叱るけど、別のコーチは不足分をもっとガンバレと励すなどです。

ほかにも、「失敗・ミス・悪いプレーを怒る基調のコーチ」と「いいプレーを褒める基調のコーチ」がいて、それぞれの言葉にはかなりの差を感じることでしょう。

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選手・親の悔しさの行き場

選手に対する指導や評価試合メンバーの選出、トレセンや個人賞の推薦、Aチーム・Bチームの選別等々。
コーチの判断はいろんなシーンで、子供たちや応援する親たちの気持ちを揺さぶることも多いです。

認められれば嬉しいですが、認められないときは悔しいです。 例えば試合に出られない悔しさは、どこにもやり場のない「悔しさ」で、ぐっとのみこんで、出場できなくても、チームを応援することが求められます。

その悔しさを糧に頑張って上手になろう!」という説明がよく言われますが、本当にそれで正しいのでしょうか?

子供たちにとって試合は力を示すだけの場ではないです。 試合でしか学べないものも多いですし、試合を通じて大きく成長することもあります。 試合に出られないということは、成長の大きな機会を失っているともいえます。(試合を見ることで学べることもありますが、毎回見るだけでは出ている選手と差がつきます。)
普段は同じ練習をしていても、試合に出られない選手はその分成長機会が少ないということになります。

つまり、試合に全然出られない子が、試合に出ている子を超えて上手くなるのは、実は簡単ではありません
もし「悔しさ」を晴らそうとしたら、チームとは別に自主練習も欠かせないと思います。

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ところで「悔しさ」を無理して・急いで晴らそうとしなくても、「悔しさ」を抱えておくことは、練習に対する集中力を高く維持するのに役立つと思います。
それと同時にサッカーを楽しむところはしっかり楽しんで、腐ることなく続けることができれば、メンタルは鍛えられます。 最初からチヤホヤされた選手より、逆境に強い・打たれ強い選手になれると思います。



間違いだらけのコーチとその背景

・話す内容がその都度違う
・説明の意味が分からない
・コーチが遅刻して練習時間を短くしてる
・検証もなく思いつきのプレーをおしつける
・難しすぎて進まない練習
・簡単すぎて退屈な練習 等々

保護者がコーチに直接意見するのは難しいですが、指導内容に疑問を感じるコーチもいます。

ひとつ「おかしいな」と感じると、そこから不信感が募り、だんだんそのコーチが信用できなくなってくることもあります。

コーチ不足やコーチの高齢化で、コーチ経験が少ない人あるいは親が、練習を見ているというスポ少の話も耳にすることがあります。 

忙しい中、ボランティアで休日や夕方の時間を割いて、子供たちの指導にあたるコーチたちに対して、「どこまで内容を要求していいのか?」難しいところかもしれないです。



間違ってなくても選手が上達しないコーチ

理論も戦術も筋が通っているのに、指導している子供たちがなかなか上手くならないということもあります。

「大人への説明」は上手なのに、「子供たちへの指導」は上手ではないのでしょう。

中には上手くならないことを、
「話が聞けないから・・」とか、
「なんで分からないのか理解できない・・」とか、
「身体能力が足りないから・・」とか、
子供たちのせいにしてしまう困ったコーチもいます。

なかなか結果が見えないからといって、コーチの言葉通りに子供の能力を疑うことはないですが、何らかの工夫がなければ上達は難しいかもしれないですね。

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選手・親はどうする?

コーチの言動をそのまま受け取って、言われたことで傷ついたり、文句や不満を陰で言っているだけでは、いいことはないです。選手にも、親にも、できることはあります。

まずその準備として、別のいろんなコーチや監督等の指導者たちの話を聞くのもいいと思います。近い人たちだけの話では偏りがあるかもしれないので、インターネットで情報発信している指導者たちの話も参考にしてみるといいと思います。

広く聞いたり調べたりする中で、本当に力づけられるような言葉や意見に巡り会えたりします。

そこで大事なのは、自分たちのコーチの言動・指導内容が、正しいか・間違っているかの判定だけにとどめないということです。

コーチの指導や言動が、子供たちの育成・成長にプラスになるように解釈を助けたり、場合によっては取捨選択を助けることが、親としてできることだと思います。 また、子供を励ましてあげることもすごく大事なことだと思います。

なおこれらのことは、たとえば頑張っているのに認めてもらえない子などの場合に関しての話です。

もし、もっとシビアにサッカーを上達させたいという場合は、スポ少ではなく、お金がかかるかもしれませんがスクールやクラブチームに行かせるという選択肢も考えるべきですね。

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コーチとのつきあい方

スポ少のコーチは基本的にボランティアで、忙しい中で休日や夕方の時間を割いて、子供たちにつきあってくれています。
慣れてくるとコーチがそこにいることが当たり前に思えてきますが、プライベートの時間を割いてあたってくれていることに感謝することも忘れられないと思います。

よほど有能なコーチなら別ですが、普通のコーチなら疑問に思うような言動や指導を目にすることもあると思います。 それが自分の子供に関わることだと、私情も絡み、余計に気持ちが反応しやすいところですが、冷静さを失ったら関係がこじれます。

コーチ側にも言い分があり、ボランティアなのに苦情だけ言われても腹立たしいものです。「文句を言うくらいなら、あなたがやってみろ!」となります。

苦情のときだけ言うのではなく、普段から感謝の気持ちも含めて、いろんなことを話せる関係になっておけば、困った時も普通に意見交換できるようになると思います。
とはいえ、態度が上からすぎるコーチもいると思いますし、その場合は話していてイラッとするかもしれませんが、そこは「税金みたいなもの(嫌でもやらないといけないこと)」と腹をくくれば、我が子のためでもありますし、意外となんとかなるものかもしれないです。



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