叱る・怒るコーチの長所と短所

指導において強く叱るという行為が、練習に緊張感をもたらします。 よほどの子じゃない限り、大人が怒ると、たいていは大人しくなります(長くは保てない子もいますが・・)。

「練習が嫌なら帰れ!」

怒られることで委縮しすぎる子もいます。
一方で、怒られることに慣れて平気な子もいます。

おそらく大多数の人は、怒る・叱るベースのコーチになってしまうと思います。
厳しくないと子供たちが慣れてきたときに、想像以上に言うことを聞かなくなることが多いです。イタズラ心を抑えられない子供たちは、自由奔放に動き出し、多少強く言う程度ではなかなかコントロールできなくなることも。コーチが「なめられてる」と表現される状態です。
面白いことが言えるコーチなら、子供たちの気が散り始めたときに興味をひいて、ぐだぐだにならないようにコントロールできるかもしれませんが、これは相当難しいです。

手っ取り早いのは怒ること。怒ることで、練習に緊張感を持ち込めます。静かにさせる・言うことを聞かせるについては、「怒鳴る」は即効性があります。

一方で、怒鳴り声に委縮する子供もいるため、言うことを聞かせるのには即効性があっても、必ずしも子供たちの練習に対する集中にはつながっていないことも多いです。怒られても平気な子には、「怒鳴り」がエスカレートする危険もあり、そうすると委縮する子はますます委縮します。怒鳴られながらの練習を積み重ねると練習が嫌いになるケースもあります。

「怒られるから真面目に練習する」という練習への動機付け(モチベーション)は、燃え尽き症候群につながりやすいといわれています。
ちなみに、燃え尽き症候群になりにくい動機付けとしては、「サッカーそのものが好きで練習したい」「大会でいい成績を取りたいから練習する」などだそうです。

あなたのお子さんのコーチはどのタイプ?
「練習しないなら帰れ!」と怒るコーチ


褒める基調のコーチの長所と短所

いいプレーを褒めると、褒められた子も嬉しいですが、他の子たちも何が(褒められる)いいプレーなのかを、自分の目で確認することができます。
一方で、ダメなプレーを叱られたときは、ダメなプレーは目にできます。でも、いいプレーにするためにどうするかを目にすることはできないです。(コーチが説明しても目にすることにはならないです。)

練習に子供たちが夢中になっているとき、怒声を浴びせてシラケさせるのはもったいないです。褒めたり・励ましたりしてどんどん乗せていったほうが、もっと夢中に(集中力が高く)なって練習に取り組めます。
でももし練習内容に魅力がないと、ふざけだす子もいたりで、練習がぐだぐだになる危険もあります。

練習がぐだぐだだからといって、怒鳴ってしぶしぶ練習させるのは、子供たちにとっては苦行でしかないですね。そこに高い集中力を期待することはできないです。下手すると練習が嫌いになります。 改善すべきは、「子供たちの態度」の前に「練習内容」だと思います。
逆に怒鳴らないと、ぐだぐだになるような練習なら「練習内容に魅力がない」ということです。 でも同じ練習内容でも厳しく管理すれば、見た目は真面目に練習しているように見せることもできるでしょう。こうして怒鳴る管理は「練習内容の改善すべき点」が隠れて表面化しにくくなるという側面もあります。



「叱る」「褒める」「励ます」の組合せが大事

たとえば「危険な行為」「繰り返すふざけ」「やる気のない言動」には、「叱る」のが有効だと思います。ただし、怒りすぎると雰囲気を悪化させるだけのこともあるので、そのタイミング・長さ・強さには注意が必要です。

ミスについては「叱る」のではなく、「次は上手くやろう」と「励ます」ほうがいいと思います。特に低学年の場合は、怒りすぎるとミスを恐れて挑戦しなくなる心配もあります。
できないことに挑戦しないと、今より上手くはならないです。できないことに挑戦すると当然ミスも発生します。ミスって叱られることを恐れて、できることしかやらない選手になるのは残念です。
なお励ます際はミスの原因や改善点についても解説できるといいですね。

「いいプレー」や「素晴らしい言動」には、すぐ「褒めて」みんなにも何がいいのかを説明してあげるといいと思います。褒められた本人はモチベーションが上がるでしょうし、周りの人たちには手本になるという、一石二鳥です。



コーチのタイプに応じた家族のサポート

コーチを選ぶことはなかなかできません。 でもコーチのタイプを理解し、それに応じたサポートをすることは家族にもできますし、家族にしかできないこともあります。

適切な家族のサポートが、子供のモチベーションや向上心を守ったり、あるいは、よりレベルの高い状態・姿勢で練習に臨むことを可能にします。家族のサポートしだいでは、同じコーチの指導を受けていても上達や経験に差がでます。

テクニックや戦術、トレーニングなどサッカーについては分からなくても、子どものメンタルや姿勢についてはフォローできますし、逆に家族にしかできないこともあります。

もし、あなたのお子さんのコーチが、ものすごく怒るコーチだったとしたら・・

家族まで一緒になって お子さんを怒ったら、自信を失いかねないですし、怒られっぱなしではサッカーが嫌になりかねません。 できれば家族は、良かった部分を話したり、褒めてあげたり、励ましたりして、バランスをとってあげるのが一番だと思います。

心にバランスと余裕ができれば、怒られた内容に対しても、より前向きに向きあうことができるでしょう。 心のバランスができれば、怒られたくないという緊張感が、集中力を高い状態に維持するほうへと役立つかもしれません。

しかしもし家族にまで怒られて自信を失い、心のバランスと余裕がなくなれば、言われた内容と正しく向き合うこともできず、平静を取り戻すきっかけも得られず、心が混乱したまま、サッカーが嫌いになりかねないので、注意が必要です。

もし、あなたのお子さんのコーチが、甘すぎるコーチと感じたら・・

練習中に注意力が散漫だったり、ふざけたり、ぼーっとしていたり、・・・。練習中に集中力・緊張感が維持できないようでは、その本人だけではなく、周りの選手の上達にも影響を与えます。何より、ケガや事故の原因になりかねません。

その場合は、子供に対して発破をかける役を、家族が担ったほうがいいかもしれません。「褒めすぎ」は勘違いを生み、安易で甘い考え方がその子に定着しがちです。

チームすべての選手に対して、甘すぎるコーチというのは少ないと思いますが、エースや特定の選手に対して甘すぎるコーチというのは案外います。

子どもの様子や言動にあらわれる兆候を見落さない

家族だからといって練習の全てを見ていられる人は少ないです。そのため、どんなコーチでどんな練習なのかを把握するのは、けっこう難しいかもしれません。

だからこそ、子どもから話をしっかり聞くことが大事です。その言動や様子をチェックすることで、必要な家族のサポートが見えてきます。

自信を失いそうに感じたら、その原因をよく聞いて励ましてあげることが大事です。
ただ、どうして自信を失いかけているのか、自分では認識できない子も多いですので、そのときは練習を見学したり、コーチに話を聞いてみるのもいいと思います。

必要以上に調子づいていたり、なめてるなぁと感じたとき・・・。その態度が家族にだけ見せるものなら問題ないかもしれません。しかし練習中にも平気でなめた態度・やる気のない姿勢をとってるようなら、いい結果は生まないので早く修正することが大事です。コーチの指導が行き届いていないとすれば、家族の出番かもしれません。叱るべきところは叱ることも必要かもしれません。

自宅で学べるサッカーの上達方法もあります

「今、指導を受けているコーチだけでは不安で・・」「コーチや仲間にコッソリと上達して見返したい(驚かせたい)」という場合には、自宅でプロの上達方法が学べる方法もあります。

城彰二 (Jリーグ・スペインリーグ・日本代表で活躍) が教えるサッカー上達DVDは、少年サッカーの指導でも経験豊富な指導者だから、多くのサッカー少年に喜ばれています。

【関連のテーマ】
城彰二サッカー上達DVD



このページの先頭に戻る

ほかの話題も

Copyright © 2012-2017 スポ少サッカーのあるコーチの頭の中~指導・選手・親の視点で斬る!. All rights reserved