人工芝でプレーしたキーパーが集団でガン?

ショッキングな話ですが、2014年に、アメリカのテレビ放送をきっかけに世間に知られるようになりました。
ことの始まりは、2009年にワシントン大学女子サッカー部のゴールキーパーの2人が相次いで悪性リンパ腫で入院したことから。そして他大学の女子サッカー部も調べたら、38人も化学療法を受けていたそうで、そのうちなんと34人がゴールキーパーだったそうです。

この話題は、2016年4月27日放送のフジテレビ「とくダネ!」でもやっていました。

その原因と疑われていたのが、人工芝に充填されている「黒いゴムチップ」。

人工芝のピッチでサッカーをプレーすると、スパイクの中とかによく入っていますし、転ぶとけっこう服や体に付着します。

この「黒いゴムチップ」には、ベンゼン、カーボンブラック、鉛などが含まれているそうです。
これらは、国際がん研究機関(IARC)の発がん性リスク評価で「3」と「2B」に分類されます。「3」は「発癌性が分類できない」でまだどちらとも断言できない状態で、「2B」は「発癌性が疑われる」と黒に近いグレーという状態です。
(具体的には「3」のベンゼンと、「2B」のカーボンブラックと鉛とのことです。)

ちなみにこの分類は、「科学的な根拠の強さ」を示したもので、「ガンになるリスクの強さ」ではない!ということに注意が必要です。勘違いしがちです。つまり、同じ分類にあっても、ガンになるリスクの大小まで同じとは限りません。
ちなみに2Bには、「コーヒー」、「ガソリンエンジン排ガス」、「携帯電話電磁波」などもあるようです。

そんな疑いのかかった「黒いゴムチップ」は、プレーで舞い上がり、口・鼻・目・耳などから体内に入ったり、あるいは傷口に付着して体内に侵入するようです。試合・練習でダイブを繰り返すキーパーのポジション特性から、ガンが集中したものと考えられたようです。

この問題を明らかにすべく、アメリカ政府の3つの機関、環境保護庁、消費者製品安全委員会、疾病対策センターが2016年2月から共同研究を開始したそうです。結論が待ち遠しいです。

ちなみに人工芝のメーカーである「フィールドタ-フ社」は、2016年2月時点の表明で、「科学的研究結果から、人工芝フィールドとがんやその他健康問題の間には一切関連性ない」としております。

人工芝のグランドは身近になってきていますし、その安全性はすごく気になります。 安全だと証明されれば、ひとまず安心ですが、その場合でもアメリカのゴールキーパーの相次ぐガンの原因がはっきりしないと、不安は引きずりそうです。



ガンになった原因は他に考えられないの?

人工芝やゴムチップ以外に、原因は考えられないのでしょうか?
残念ながら遠いアメリカのニュースですし、ニュース以外からのそれに関する情報が分からないので、次のレポートを待つ以外なさそうです。



人工芝の使用状況

ロングパイル人工芝ピッチは、1990年代に国外で誕生しました。

人工芝の施設は、アメリカやカナダで多いようです。

アメリカでは2016年2月時点で11,000箇所の人工芝の施設があるそうです。ものすごい数です。

カナダは天然芝を育てるのが難しいこともあり、人工芝のスタジアムは多いです。そのためか2015年女子サッカーW杯カナダ大会では、男女通してW杯初となる全6会場が人工芝のピッチで行われました。

日本国内では2000年に川崎フロンターレが練習場に採用したのが始まりとされています。そして2004年に約180施設、2005年に約360、2006年に約550、2007年に約770,2008年に約930、・・と年間200施設前後のペースで増えて、2016年では全国で約2700施設あるそうです。



このページの先頭に戻る

ほかの話題も

Copyright © 2012-2017 スポ少サッカーのあるコーチの頭の中~指導・選手・親の視点で斬る!. All rights reserved