サッカーが好きな子ほど上達ははやい

サッカーが好きで、プレーや練習に自然に夢中になれる子は、集中力も高く自然に上達もはやくなります。

また試合などを見るのも好きな子だと、見本となるプレーをたくさん目にしている分だけ、プレーに対する発想も豊かになります。

好きな子ほど、サッカーをプレーしたり・見たりする時間も長くなりがちですし、その面でも上達しやすいです。


好きにもいろいろ

サッカー好きにもいろいろで、「自分でプレーする」のも「プロとかの試合を見る」のも両方好きな子もいれば、「自分でプレーする」のは好きだけど、「試合を見るのは好きじゃない子もいます。

さらに、言葉では「好き」と言うけど、積極的にサッカーに取り組むわけでもなく、プレー中も言うほど楽しそうに見えない子もいます。

もしかしたら、サッカーそのものではなく、そこに集まるメンバーと一緒にいるのが好きなのかもしれないです。

あるいはサッカーは好きだけど、練習の内容や、一緒に練習する相手が気に入らずに、気分を落としているのかもしれないです。

たとえば、ボールを蹴るときは生き生きしているけど、それ以外の練習はイマイチ元気がない子もいます。
また、リフティングは黙々と夢中に練習するのに、ゲームになると楽しそうじゃない子もいます。
逆にゲームは楽しそうだけど、それ以外の練習はふざけたり、やる気がない子は、かなり多いです。

全部好きというのが上手くなるうえではもっとも強力ですが、誰しも好きな部分好きじゃない部分があったりします。


「好きな部分」と「好きじゃない部分」

好きな練習やプレーは夢中になりやすく集中力も高めやすいです。

一方で、好きじゃない練習やプレーについては、モチベーションの上げ方が重要です。

嫌いなまま」、「しかたなく」、「いやいや」するのでは、その練習時間がもったいないです。そんな集中力の低い練習時間を積み重ねても、上手い選手との差は開くばかりです。

一度好きじゃない部分について、「なぜ好きじゃないのか?」から考えてみましょう。理由にはいくつかパターンもあるけど、その理由を取り違えるとなかなかモチベーションは上がっていかないです。


練習を好きになる心理

その子にとってどういう条件を満たすと、その練習が楽しく思えたり、好きになれたりするのでしょうか?

(1)練習が難しすぎず・簡単すぎないこと
人間に限らず生物は、自分の持つ能力をフルに発揮できているときに幸せを感じるといわれます。そういう経験はおそらく誰しも経験があると思います。
幼児であれば、まっすぐドリブルするだけでも、最初は持てる能力を十分発揮しないとできないですし、できてるときはすごく楽しそうです。慣れてくると簡単すぎて楽しさを感じられなくなっていきます。
リフティングでも、たとえば初めて100回いったときとかは、その回数達成への喜びも大きいですが、リフティングしているときの集中具合がけっこう充実していて楽しいです。慣れてくるとだんだん楽しさも感じなくなり、ちょっと難しい技に挑戦してみたりします。

(2)上手くできたという実感があること
上手くできたという実感が分かりやすいことも大事です。パズドラやモンストなど人気のゲームは、このあたりが絶妙です。
試合での「勝敗」や「ゴール」など、リフティングの「回数」などは結果として分かりやすく、実感しやすいです。
しかし一方で、たとえばパス練習の場合、相手がトラップ不能なパスは当然「失敗」ですが、相手がトラップできればパスが「成功」したというわけではないです。パスの強さ・コントロール・タイミング・パスモーションの速さ・周囲確認などが、十分に試合に使えるほどのレベルだったかは目に見えにくいです。そのためごく普通のパス練習は、1回1回の結果を実感しにくい練習と言えるでしょう。

(3)興味を失わないこと
当たり前のことですが、興味を失うと好きにはなれません。たとえば日本中を熱狂させるほどの人気ゲームでさえ、興味のない人には何の喜びも与えられないのと同じです。
もともとサッカーに興味があってスポ少に入っても、怒られすぎたり、嫌な思いばかりでは、好きになることができないです。
サッカーを楽しめる雰囲気を作り、それを維持することもすごく大事なことだと思います。もし練習が厳しいのなら、他の場でサッカーを楽しめる機会を作ってあげるのも手かもしれません。


好きじゃない理由はどれか?

練習が好きになれないのには理由があります。その理由に気づき、改善することで練習をもっと好きに、夢中になれるものに変えられるはずです。
練習内容や見た目は同じままでも、姿勢や心構えを変えることでも改善はできるので、その事例も挙げていきたいと思います。

(1)自分にとって簡単すぎる練習の場合
簡単すぎる練習は、退屈ですし、つまらなくなるのも当然です。できることを、できる範囲内で何度も繰り返すだけでは、そもそもレベルアップも望めないです。その選手のレベルに応じた練習内容にするのは、当たり前のことだけど、意外と見落とされていることもあります。
練習内容は、練習の目的と、選手のレベルに応じた難易度を考えながら調整してこそ、集中力アップにもつながります。慣れてきたら、それに応じて難易度を上げていきます。
例えば、鳥かごを4対1で初めて、続くようになったら、4対2にオニを増やします。さらに続くようになったら、4人のボールを回す選手に3タッチ(2タッチ)以内などのタッチ制限を加えて、より早い状況判断を要す4対2にすることもできます。

(2)練習内容が難しすぎる場合
トレセンや上級生の練習方法を、そのまま下してきても、子供たちには難しすぎることがあります。難しすぎる練習は、混乱するだけで、好きにもなれないですし、上達にも寄与しないです。
もしその練習を取り入れたいとしたら、混乱なく挑戦できる形に一度修正して、子供たちが慣れてから元の練習に戻すなどの工夫が必要です。
たとえば、4対2の鳥かごをやろうとして、なかなかパスがつながらない場合は、4対1にしてオニを減らしてあげるのもいいと思います。(ちなみに4対1でも上手く回らなかったときは、足でのパスをやめて、いったん手でのパスにしてみました。そうすると、足の時より顔が上がり、周りが見やすくなるためか、上手く回り出したのでした。連続10回パスがつながるようになってから、足でのパスに戻したら、足でもつながるようになりました。子供たちもパスがつながり出すと楽しそうに夢中にプレーするのでした。)

(3)手ごたえが感じにくい
特にパス練習のときが、手ごたえを感じにくく、なんとなく繰り返すだけの練習で時間を過ごしてしまう傾向があるによう思います。
でもきちんと、注意すべきポイントに意識を集中して、しっかり目標設定して、1本1本真剣にパス練習を行えば、思っている以上に忙しいですし、手ごたえも感じることができます。
たとえば、2人一組の向い合せのパスの場合。まずキック前に相手の状態確認。そしてキックは軸足を決めるときが重要で、軸足とボールとの離れ・前後関係・体の向きが決まり、ここでパスの良し悪しが8割がた決まります。しっかり踏み込むことも大事です。足の振りやインパクトの位置、振り抜き、キック後もすぐ動けるボディバランス・周囲の確認など。キックは強さ・コントロールをしっかり。コントロールは相手のどちらの足に出すかまでイメージします。インサイドキックなら浮かさないことも注意。トラップは体全体での移動、ボールの落としどころ、無駄なタッチを無くして速やかにキック動作に移りつつ周囲も確認します。
つまり、トラップからキックまでの一連の動作のムダをなくして、スピードアップするとともに周囲確認を織り込み、キックの強さ・精度のアップを目指して、パスの1本1本を取り組めば、同じ練習でも以前より手ごたえも充実感も得られます。なんとなく繰り返すだけでは好きにはなれません。

(4)指導が厳しすぎる場合
「失敗したら怒られるし・・」「怒られるのが怖い」など必要以上に緊張しすぎると、動きやプレーではなく、結果やコーチの言動にばかり注意が向いてしまいがちのことも。これでは、いつまでも楽しくなれないと思います。
怒られても切り替えられる子なら、委縮することなくプレーできるかもしれません。でもいったん切り替えに失敗すると、「委縮するからプレーや動きに集中できずに失敗」→「失敗すると怒られる」→「怒られるとますます委縮」という悪循環にはまることも。
怖いコーチが異動したり優しくなるのを期待するだけでは、何の救いや助けにもなりません。親や家族が、積極的に子供の話を聞いてあげて、味方になってあげましょう。また「怒られても頑張ってるね」「怒られたけど途中まではよかったよ」とか、褒めたり、応援したりしてあげるのも自信になるかもしれないです。
そのときに注意したいのは、怖いコーチを否定するような言い方は避けたほうがいいです。小学生はまだまだ素直です。親が子供にコーチへの反感を見せすぎると、その思いが子供の言動に出てしまうこともあります。それでコーチの心証を悪化させ、子供の立場を悪くしたらますますかわいそうです。

(5)気が散りやすい場合
小さい子供にありがちですが、トンボやバッタなどの虫とか、見ているお父さん・お母さん・家族などに興味が向いて練習に身が入らないということもあります。
これには心の成長を待つしかない部分もあると思います。力づくではなく、興味を練習に向けるかたちで誘導できるのがいいですね。
高学年になっても、別のカテゴリーの練習が気になったり、何か違う事・物に気持ちを奪われているときもあります。あるいは、おしゃべりを始めたり、ボールを思い思いに蹴ったり遊んだりして、練習に集中できないということもあります。
そんなとき、「何しに来たんだ!練習しないなら帰れ!」と叫ぶ指導者もいます。練習に一定の緊張感を持たせるために、必要に応じてたまにはビシッと叱るというのは大事かもしれないです。
私の場合は「無駄にした時間分、最後のゲーム練習の時間が短くなるよ~」と声掛けすると、みんな好きなゲーム練習の時間は削りたくないのか、関係ないことはやめて練習に戻るのでした。
それから、練習ごとの目標や、次の大会での目標など、こまめで上手な目標設定は、気が散りやすい子にも、やる気や集中力を取り戻すのに有効な方法だと思います。


サッカーを見るのも好きになるには

Jリーグ、ワールドカップ、オリンピック、トヨタカップ、チャンピオンズリーグ等々、その気になればいくらでもテレビ・BSでレベルの高いサッカーが見られる環境があります。

あるいは、近くで行われるサッカー大会を見に行ったり、上級生の試合を応援しに行ったりすることで、生で試合を観戦することもできます。生で観戦することのメリットは、ボールのある位置ばかりを追いかけるカメラ画面では見られない、ボールがないときのプレーヤーの動きを見ることができるということです。

このように、その気になればいくらでも手本になりそうなサッカーを見ることはできるのに、見るほうには興味が持てないという子も多いです。

ところで、見るのが好きじゃない子でも、もしお母さんが出るサッカーなら興味が持てると思います。

あるいは、友達や親しい人、良く知っている人が出るサッカーでも、興味が持てるかもしれません。

なので、その子に近い人が出るサッカー観戦から初めてみるのもいいと思います。

プロのサッカーについても、まずは選手やチームについて知ることで、試合のほうにも興味がわいてくることもあります。
そのきっかけは、選手やサッカーチームについての話を、お父さん・お母さんと一緒に盛り上がる話題にすることが一番だと思います。


サッカーが好きに(もっと好きに)なるとき

達成感や成功体験、喜びを味わうことで、サッカーがもっと好きになれます。 好きになればこそ、練習にもっと夢中になれますし、よりきつい練習・辛い試練も乗り越えて成長できるはずです。 サッカーがもっと好きになれる瞬間を、いくつか挙げてみました。 きっとまだまだあると思います。

大会でいい成績を収めたとき
達成感がチーム全体に広がり、選手も親もスタッフも盛り上がることでしょう。その盛り上がりが、子供たちにさらなる喜びを与えたりします。
注意しないといけないのは、天狗になって練習を軽視しだすこと。勘違いが続くと力を落として、次の大会では悔しい思いをすることになります。中には、その失敗で自信を無くして、ダメになるチームもあります。

勝てなかったチームに勝てたとき
これまで勝ったことがないチームに勝ったときの喜びも、大きな達成感となりします。
喜びに水を差すわけではないけど、相手がベストメンバーじゃなかったり、コンディションや力を落としていたりすることもあるので、必ずしもチームの実力アップを示すものではないですが、大きな喜びが次のステップアップの糧になるとすれば、いいきっかけかもしれないです。
注意したいのは、子供たちを天狗にさせないよう気を配ることしょう。

ゴールを決めたとき
試合での活躍の中でも、シュートを決めるというのは達成感だけではなく、格別な喜びがあります。ゴール直後、ピッチの仲間からも、ベンチからも、応援している家族たちからも注目され、最高の瞬間といえます。一度この喜びを味わうと、次も決めたいと思うはずです。

試合で活躍したとき
試合で活躍できたときの達成感もサッカーをもっと好きになるには十分だと思います。さらに、その活躍を、仲間や指導者、応援していた自分や仲間の家族たちに、褒められたり・称えられたりするのも大きな喜びになったりします。

できなかったプレーがでるようになったとき
相手ディフェンダー裏への的確なスルーパスでチャンスをつくったり、キーパー正面になりがちだった1対1でのシュートを冷静にサイドネットに流し込んだり、チャンスに思いつけなかったプレーや、いつも失敗していたプレーができるようになったときの感動も大きいです。自分が一つレベルアップした手ごたえを感じ、サッカーがまた面白くなる瞬間でしょう。

目標を達成した時
大会優勝などのチームでの目標もそうですが、個人での目標(リフティングで100回とか、試合でゴールを決めるとか、レギュラーを取るとか、・・等)を達成したときも、そこまでかけた努力に応じた達成感が得られます。目標は達成して終わりではなく、すぐ次の目標を見つけて進み続けられれば、どんどん成長できるはずです。また期限がある目標の場合、達成できないこともありますが、このときも次の目標を見つけることが大事です。


負けず嫌いの要素も影響力大

サッカーに熱くなれるか?上達できるか?には、負けず嫌いの性格も大きく寄与します。

負けず嫌いの気持ちは、どんどん出していったほうがよさそうです。 でも出し方を間違えて、感情を暴走させて、味方を傷つけるだけの言動にならないように注意が必要です。


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