言葉だけでサッカーは教えられっこない

大人のサッカー経験者なら、言葉での指示や説明も、自分の経験に照らし合わせてイメージできるので、コーチの話も理解できます。

でもまだまだ経験が少ない子供たちは、コーチの指示や説明を理解するために、照らし合わせる経験がなく、イメージできない言葉も多いです。

大人に比べて、言葉に対する理解能力も発展途上ということもありますし、そもそも説明なんて退屈な話を集中してじっくり聞くことが苦手だったりします。

あるいは、話を聞いたときは分かったような気にはなり、力強く頷いたのに、いざ説明されたようなシーンで、説明通りのプレーができないということも多いです。

言葉で聞いただけのプレーを、すぐに自分のプレーにできるなら、誰も苦労しないですね。 自分ができるプレーとして理解・定着させるには、そのためのプロセスを要します。

あなたのお子さんのコーチは見落としてないでしょうか?


言葉だけで伝わる場合

コーチの言葉を具体的に、選手がイメージできる場合は、言葉だけでもコーチングはできます。

すごく有名なシーンとか、とても悔しい思いをしたシーンとか、逆にすごくうれしかったシーンとか、・・・コーチと選手がイメージを共有できるシーンを引き合いに出して説明する場合なら、言葉だけでも十分伝えられるものはあります。

よく知るプレーの確認には言葉は有効です。
でも、まだ体験したこともない新しい・未知のプレーを、言葉だけでできるまでに伝えることはできません。



百聞よりもたった1回のプレー体験

身に付けてもらいたいプレーについて、そのプレー中に見えるはずの景色を見せて、そのプレーに必要な動き・タイミングを自分で体験し、そしてそのプレーが成功した時の手ごたえを感じることができれば、もう言葉の説明は不要です。

「相手ディフェンス裏へのスルーパスを成功させて決定的なチャンスを作ったり」、
「壁パスを上手くつないでディフェンス陣を一気にかわしてチャンスを作ったり」、
いろいろ身につけてもらいたいプレーはありますが、いずれも手応えを感じるプレーの成功体験へと誘導するような指導が理想だと思います。

たとえ偶然できたプレーだったとしても、「次に、狙ってできるなら」それは実力です。



「教える」じゃなく・成功体験に「導く」指導

例えば、ドリブル大好きで全然パスできない子に、パスもできるようになって欲しいとき。 その子にパスの大事さをいくら語ったところで、その子がパスに興味を持てるとは思えません。

そこで、「パスしなければならない」ような、そして「パスを成功させることで手応え・喜びを感じられる」ような、ルールのゲームを考えてあげます。

ゲームに夢中になっているうちに、自然にパスの成功体験と手応え(喜び・達成感)を積み重ねて、パスという選択肢をその子のプレーのひとつに定着させていきます。

「どのようなルールのゲームなら、興味が持続して目的のところまで導いていけるのか?」「ゲーム中どのようなタイミングでアドバイス&元気づけられるか?」がコーチとしては腕のみせどころだと思います。「ゲームを進めながら、子供たちのプレーや表情に応じてルール・メンバー等を修正して難易度を調整する」ことも大事です。

その子にとっての課題が、難しすぎても・簡単すぎても夢中になれないですし、夢中になれなければ集中力も上がっていきません。

いろんなパターンのゲームで指導したことがありますが、たとえば5対5のミニゲームをベースにした指導を挙げてみます。
パスを指導したい子がいるチームを若干強めにメンバー調整し、その代わり、その子のチームは3タッチ以内の制限をつけます。(本当は2タッチ以内としたいところですが、トラップがある程度上手くないと2タッチで回すのは難しいです。明らかに3タッチ以上のプレーがあったら、プレーを止めて相手のスローインなどで再開します。)
相手チームは若干弱め(あるいは一人少なくしてもいいと思います)にして、そのかわりタッチ数の制限をなくし、ドリブルOKとしてゲームをスタートさせます。

初めて間もなくは、
「パスを受ける選手の動きが悪く、パスコースがなくてパスが出せなかったり、」
「ボールを受けてからパスコースを探す癖が抜けずに、タッチ数以内でのパスが出せなかったり、」・・
なかなか思うようにいかないはずです。

慣れてくると、気持ちよくパスがつながって、ちょこちょこ素敵な連係プレーが飛び出すので、その頃にはパスプレーを楽しめるようになっていると思います。
(どうしてもうまくいかないときは、フリータッチにしている相手チームのフィールダーをもう一人減らすなどの調整もアリだと思います。ある程度パスが回るようになったら、人数も戻すといいと思います。)



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