2人一組のパスではできない、ボールの方向を変えるパスの練習をします。
サッカーの試合では、例えば「後ろからパスをもらって、横にいる味方にパスを出す」プレーや、「横からもらったパスを、前の味方やスペースに出す」プレーなど、パスの受け渡しの方向が変わることが普通です。
2人一組のパス練習のように、もらったパスを、そのまま同じ方向に戻すリターンパスは少ないです。
たとえ2人だけでやりとりするパスでも、ワンツーリターン(壁パス)のように、「受ける方向」と「出す方向」は違うことが普通です。
そこで、体を回す動作をパス練習に組み込むには、「ボールを受ける相手」と「ボールを出す相手」が違う方向にいることを要します。
3人一組でもそれは可能ですが、その場合は三角形でのパスなので、体を回す角度が小さいです。
四角形なら90度分方向を変える練習ができます。
最初はボール1つですが、慣れてくればボールを2つにします。つまり、4人で2つのボールを回していきます。
さらに慣れてくれば、形を六角形にしてパス直後に空いた次のスペースに移動する動きを加えるとともに、体を回す角度を120度まで広げます。
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2人一組向い合せのパス練習
4つのマーカーを四角形に配置し、4人がそれぞれマーカーの一歩外側に立ちます。
ボールは隣へ隣へと回していきます。対角線方向にはパスしないです。キックはインサイドキックが基本です。「右回り」と「左回り」の両方で練習します。ボールは2つ使って回していきます。(最初慣れるまでは1つでOK)
マーカーにボールを触れないように、しっかりマーカーをかわして、隣の仲間へとボールを回します。ボールは2タッチで、「タンタン」のテンポでトラップ&キックを素早く行います。
ミスして誰かがボールを取りに行ったときも、残った3人でパスは続けます。ボールをもって戻ったときに、タイミングよく入ることも練習の一部です。
トラップする足は必ず遠い足です。
ボールを「受ける方向」と「出したい方向」が違う場合、ボールを受けるときに正面に構えるより、半身(はんみ)に構えるほうが、ボールを「出したい方向」に正面を向けやすく、トラップ後の動作もスムーズです。つまりボールが来たら、ボールに近いほうの足は軸にして、「遠いほうの足」でボールをトラップしながら、体を回すとスムーズに次のキックにつなげやすいです。
たとえば四角形のパスで「左隣から受けて、右隣に出す」ときは、左半身(ひだりはんみ)で構え、遠い足が「右足」です。逆回りで「右隣から受けて、左隣に出す」ときは、右半身(みぎはんみ)で構え、遠い足が「左足」です。
「はんみ(半身)」は「はんしん(半身)」と違います。「はんしん」は体の左右いずれかの半分ですが、「はんみ」は相手に対して斜めに立つことです。
「ひだりはんみ(左半身)」は左側を前に出す「はんみ」で、「みぎはんみ(右半身)」は右側を前に出す「はんみ」です。
武道ではよく使われる言葉です。
ちなみに遠い足でのトラップは、ターンをするときも重要ですし、いろんなシーンで必要な動作です。
トラップからキックまでの動作をモタモタするようでは、試合では通用しません。相手に寄せられて苦しくなったり、あるいはせっかくのチャンスのタイミングをみすみす逃すことになります。
できればトラップとキックの2タッチで、「タンタン」(2拍)のテンポを目標にしたいです。 「タンタンタン」(3拍)かかるなら、まだ改善できると思います。
・・動作パターン(遠い足トラップ・近い足キック)・・
「タン」(1拍目):遠い足でトラップし、そのまま軸足として踏み込む。近い足はテイクバック。
「タン」(2拍目)近い足でインサイドキック。
・・動作パターン(遠い足トラップ・キック:2拍)・・
「タン」(1拍目):遠い足でトラップし、そのままテイクバック。
「タン」(2拍目)近い足を踏みかえることなく、遠い足でインサイドキック。
・・動作パターン(遠い足トラップ・キック:3拍)・・
「タン」(1拍目):遠い足でトラップしたあと、いったん地面に足をつく。
「タン」(2拍目)近い足をボール脇に踏み込む(軸足)。遠い足はテイクバック。
「タン」(3拍目)遠い足でインサイドキック。
四角形のパス練習では、体は回すものの、基本的に位置の移動はないです。でも試合中のプレーは、ほとんどが移動を伴います。
そこで六角形のパスにすることで、ダッシュ直後又は移動しながらボールを受けたり、パスを出した後のダッシュを組み込み、より実戦に近い体さばきとトラップ・キックの練習ができるようにします。
マーカーを六角形に配置します。立ち位置はマーカーの外側です。6つあるマーカー[ ]への配置は、
[ ]-[選手1]-[ボール1&選手2]-
[ ]-[選手3]-[ボール2&選手4]-
が最初です。
選手2と選手4はパスを出すと同時に、隣の空きマーカー[ ]に移動します。
[ ]-[選手1]←ボール1[ ]選手2→
[ ]-[選手3]←ボール2[ ]選手4→
ボールを受けた選手1(又は選手3)は向きを変え、空きマーカー[ ]に選手4(又は選手2)が入るのを待ちます。
選手4[ ]-[選手1&ボール1]-[ ]→選手2
[ ]-[選手3&ボール2]-[ ]→
[選手4]-[ボール1&選手1]-[ ]-
[選手2]-[ボール2&選手3]-[ ]-
選手4(又は選手2)がマーカーに着いたら選手1(又は選手3)はパスを出し、同時に隣の空きマーカーに移動します。
[選手4]←ボール1[空き]選手1→[空き]-
[選手2]←ボール2[空き]選手3→[空き]-
ミスがあった場合は、いったん全員をストップし、配置についてやり直します。右回りも、左回りも練習します。
練習に広さを要すので、試合前のアップには使いにくいです。
四角形のパス練習では、方向を変えるトラップとパスの練習で、より実戦的なパスの練習です。遠い足のトラップが、意識しなくても自然に出るレベルを目指します。
六角形のパス練習では、パス前後のダッシュも加えることで、さらに実践的なパス練習です。
体を回す角度もより広くなり、より広角にパスの選択肢を増やすことを目指します。
六角形で移動するパス練習は、スピードを伴ってしっかり回り出すと見た目もカッコいいです。
しっかりプレーに集中できないと長く続かないので、続いているときは選手は集中力の高いフローの状態に入れているようです。練習でフローを体験することは、試合での集中力アップや維持に役立つはずです。
相手選手のプレッシャーはかからないので、実戦では相手との駆け引きやプレッシャーに配慮が必要です。
・・周りを見る動作・・
パスを受ける前に「次のパスコース(まだ選手が着いてないかもしれないが・・)」と「パスをもらう選手の状態(パスを出せるタイミングを知る)」を確認します。また、パスを出す直前には「パスを受ける選手の状態(パスが受けられるかを知る)」を確認したいです。
これに加えて、自分も含めた4人全体の動きも把握できるように周りを見たいです。しかし4人全体を把握していても、見ている角度はたかだか120度程度です。実際の試合では、360度の確認を要す場面も多々ありますので、いろんなタイミングで広角に周りを見るチャレンジをしてみるといいと思います。
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