大会や試合などで、負けたチームがコーチ・監督に怒られているシーンをよく目にします。
でもよく見かけるからといって、それが正しいこととは言えません。
不甲斐ない結果に対して怒るというのは、大人では当たり前のことかもしれませんが、子供の場合には事情が違います。
実は、コーチや監督に必要以上に怒られることで、子どもたちに間違った認識が生まれ、そして練習に対する間違った姿勢が形成されることがあります。
試合で負けた時、実際に戦った選手が一番悔しいはずです。 そのことを見落として、選手たちに怒鳴り散らかしたり、くどくど叱ったりするのは実は決して良い結果にはつながりません。
なぜなら「負けた悔しさ」より、「怒るコーチに対する怖さ・不快」のほうが、子供たちの心に大きなインパクトを残してしまうからです。
「負けたくないからがんばる!」というのと、「コーチに怒られたくないからがんばる!」というのでは、同じ「がんばる」でも全く違うものです。
「コーチに怒られたくないからがんばる!」の場合、子供たちがミス・失敗しないことに注力する心配があります。 つまり、失敗なくできる事しかしない。失敗を恐れてチャレンジが減り、分の悪いところには飛び込まない無難な動き・プレーに陥る可能性が心配です。
「コーチに怒られたくない」がモチベーションの核だとすれば、「サッカーをやめれば済む」あるいは「チームをやめれば済む」という方向にもなりかねないです。
「コーチに怒られたくないからがんばる!」を繰り返していると、「負けても怒られないとき」はその安心感から「負けた悔しさ」に鈍くなることもあるようです。
その一方で、「負けたくないからがんばる!」であれば、負けないため・勝つためのがんばりなので、仮にがんばるやり方がもし間違っていたとしても、そのやり方がダメだったという検証や経験となりますし、無駄にはならないです。 試行錯誤は経験を厚くしてくれます。
なのでコーチの立ち位置としては、「負けた悔しさ」を選手とともに共有するのが大事だと思います。 選手と同じ立ち位置で、ともに「負けないためにがんばる」という立場のほうが一体感は高まります。 怒りに任せて怒鳴るのは残念すぎます。
真剣に臨んだ試合のはずなのに、負けた直後でも悔しさを微塵も感じられない子もいます。
敗戦直後に、相応しくない言動をする子(選手)にイライラする場合もあることでしょう。 たとえば敗戦直後なのに、サッカーとは関係ないゲームの話を始めたり、コーチが敗戦の振り返りを話しても全然聞いていなかったり・・。
でもだからといって悔しさがないとは言えないようです。 悔しさを受け止めるのが苦手で、受け止めきれない嫌な思いから目を反らすことで心の安定を得ようとする行動として、空気を読めない・相応しくない行動になっている場合もあるそうです。
必要以上のストレスはサッカーを嫌いにしかしないとはいえ、敗戦とその悔しさに向きあえないのでは、反骨精神も育まれないです。まずは静かに選手たちと悔しさを共有し、選手たちが敗戦の悔しさと しっかり向き合えるように導くことが大事だと思います。
敗戦についてチームのコーチや監督に散々怒られたのに、家族からも同じように怒られたのでは、その子は身も蓋もありません。
しょんぼりした姿で、「十分怒られたかな」と感じたら、怒るのではなく励ますのが家族の役割だと思います。 本人が心の余裕を失い、気持ちにバランスが保たれていないと、敗戦を冷静に振り返ることもできないですし、負けの悔しさをモチベーションに変えることもできません。
嫌味な言い回しなどで、子どもの反骨精神を煽ろうとする人もいるようですが、見た目以上に気持ちが弱っていることもあり、ますますその子を追い込んでしまう危険があります。
家族に対して、悪態をついたり、ストレスをぶつけてくる子もいます。 受け止めるなり、放置するなり、子どもによって方法は違うと思いますが、まずは子どもの気持ちを落ち着けることです。 落ち着きを取り戻せば、冷静な物事の判断を取り戻せるでしょうし、家族の言葉も頭の中に届くようになるでしょう。
カッカしている最中の子供を、力でねじ伏せるという方法は、子どもが気持ちを閉ざしかねないです。 しかし周囲に目がある場では、世間体もありますし、力でねじ伏せないといけない場合もありますね。 その場合は、その後のフォローが大事です。
子どもに敗戦に対する悔しさが 微塵も感じられず、すぐサッカーとは違う話題に夢中になっている姿を見ると、なんだかガッカリです。 まだ悪態をついてくる子のほうが、サッカーに対する真剣さを感じます。
子どもによって、サッカーに対する思いや目標が違いますし、勝つだけがサッカーではありません。子どもの思いを優先することも大事かもしれません。でも思いや目標が低いと、サッカーの上達にも影響はでますし、試合にも出られなくなっていくでしょう。
中には、サッカーへの思いは強くても、悔しさを受け止めるのが苦手で、受け止めきれない嫌な思いから目を反らすことで心の安定を得ようとする行動として、悔しさが見えない子もいるようです。その場合、家族が励ましやねぎらいで心のバランスをサポートしながら、敗戦と向き合えるように導いてあげられれば、敗戦から学べるものがもっと増やせるはずです。
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